大牟田・荒尾表敬訪問
                                                               実行委員会(準)事務局長 林繁行
大牟田・荒尾へ
長く蒸し暑い梅雨が明け、夏らしい陽気が戻った8月2日(土)午前十一時五〇分、熊本県荒尾駅に到着しました。立っているだけで額から汗がにじみでて、当日夜の天気予報で荒尾(熊本県)、隣の大牟田(福岡県)の最高気温が三五度だと知りました。
 今年の四月初旬、関西の関係労組・団体・個人が集まりました。趣旨は、三池闘争・CO大災害をどう取り組み、未来への継承・運動を発展させるかということでした。一昨年、大牟田で「三人写真展」が開催され、、昨年は「三池東京写真展」も開催されていました。関西からも「労働者の命と尊厳」「三池に学び、過去の歴史を振り返る」という思いを発信させようとなりました。この日を境に「一九六〇年三池・一九六三年CO大災害関西写真展」の取り組みが始まりました。
 六月二三日に「発起人会議」が開催され、正式に立ち上がりました。一つの山を越えたと胸をなで下ろしましたが、正式に現地の「三池労組」「CO被災者」そして「写真家」の皆さんとは電話でしか話をしておらず、これまでの反省を含めて正式な要請がこの大牟田・荒尾行きでした。こうして荒尾駅に降り立ちました。
 
八月二日は要請行動
今回の現地行動のメンバーは「瀬戸宏発起人代表」他三名です。
 到着早々、三池労組芳川組合長に挨拶の遅れのお詫びと「関西写真展」の開催の趣旨の説明を行いました。私はこれまで様々に官僚や大臣等に接見してきましたが。これほど緊張した場面は今まで経験したことはなかったと思います。やはり四〇年の歴史の為せることなのでしょうか。
 芳川三池組合長の承諾を得て写真の選択、撮影を行いました。それにしても膨大な写真の山で、やはりここに日本労働運動の原点の歴史があると思いました。
 その後、「大牟田三人写真展」や「東京三池写真展」に出展された写真家とお会いし、趣旨をお伝えし、意見交換等を行い、最後に「CO原告団」と合流しました。自宅で大切に保存されていた写真や当時の記録文書・文献のご提供がありました。三池闘争・CO災害と闘争は尚生き続けていることを思い知りました。やはり現地は貴重な宝の宝庫でした。
 
翌日大牟田労災病院へ
 翌、八月三日(日)も暑い。現地を去る日なのでやり残しがないか自問しながら、CO被災者の会に立ち会っていただいて、大牟田労災病院で「受川孝さん」や他の被災者の皆さんのお見舞いが実現しました。これまで写真でしかお目にかかったことがなかった被災者に始めて面会しました。
 「受川孝さん」の「目」が私たちに何かを強く訴えていました。身体や精神を犠牲にして。付添婦の「下田千代子さん有り難う」と言うことだったのでしょうか。苦難の皺・年齢が歴史を物語っていました。
 我々は全員が言葉を失っていました。「受川孝さん」の前ではこの現実を受け入れる方が戸惑い、全員言葉も発し得ない、質問すら出せないというのが現実でした。
 こうして、四〇年前の日本最大の労働災害が、現実のものとして目のあたりにしました。この現実を「三池写真展」を通してどう伝えるか、どう継承するか、大きな時代の転機でもある現代、私たちに課せられた大きな責任でもあるといえます。
 「一九六〇年三池・一九六三年CO大災害関西写真展」を成功させることは三池だけの問題ではないと思われます。全国の働く労働者の「命と尊厳」を守る事だと、新たな意識が私の心に目覚めもしました。貴重で大切で、なおかつ有意義な、短い二日間の大牟田(福岡)・荒尾(熊本)の表敬訪問でした。
 

■発起人の訂正とお詫び
「リーフ」の裏面の発起人名簿で「こばやしひろし」さま(劇作家)を「小林博」と誤って掲載しました。訂正とお詫びを申し上げます。
 
 
■1963年CO大災害40年  シンポジウム
これは、素案です。実行委結成時等に検討し決定されます。

●とき
2003年11月8日(土)午後1時30分〜4時30分
●ところ
大阪人権センター6Fホール
●内容
T.基調報告=豊田正義/発起人会代表
U.パネラー=@ 沖克太郎氏
        (元三池労組組合長・元三池CO原告団団長)
       A 原田正純氏(熊本学園大学教授)
        ・水俣病、CO中毒症に深く関わる
        ・著書に「水俣病」(岩波新書)、「炭じん爆発」(日本評論社)等。
       B 鎌田慧氏(ルポライター)
        ・三池現地ルポを始め、CO患者に関わる
       ・著書に「去るも地獄残るも地獄」(筑摩書房)その他幾多の著作有り。
V.発言=山口研一郎氏(現代医療を考える会代表)
     その他労災に関わる団体等

【上記パネラー・発言報告は内諾をいただいています】
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